北の富士、そしてフィリップ・マーロー

Steveのつぶやき

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北の富士、そしてフィリップ・マーロー

誰にもその時は来る。 
しかし今回は、そのうち体調が戻って、あの味のある相撲解説がまた聞けるのではと思っていたので残念な知らせだった。 
自分は熱烈なファンというほどではなかったが、角界にあって角界を越えた視点を持った人物だなという感じがしていた。
報道によれば愛のある親方だったという。 
幕内優勝10回、全勝優勝3回。 
 
後に52代横綱になる千代の富士と61代横綱になる北勝海(現日本相撲協会理事長)は、彼の弟子。 
写真に残る3人で酒を酌み交わす若き日の北の富士は、いわゆる色男、ナイスガイそのものだ。 
 
ふと思い浮かんだ台詞がある。 
「タフでなければ生きていけない。やさしくなければ生きていく資格がない。」
(生島治郎訳) 
If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive. If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.
(Philip Marlowe in Raymond Chandler’s Playback) 
 
ただし、柴田元幸訳は、 
「無情でなければ、いまごろ生きちゃいない。優しくなければ、生きていく資格がない。」 
そして、村上春樹訳は、 
「優しい心を持たずに生きのびてはいけない。優しくなれないようなら、生きるに値しない。」 
 
私の場合、長いこと生島氏訳が頭に残っていたが、柴田氏訳も村上氏訳もそれぞれの立ち位置でそれなりの滋味がある。 
 
昨日大相撲九州場所で琴櫻が初優勝したが、北の富士も大いに待ち望んでいたらしい。 
 

A statue of a sumo Yokozuna