家路を急ぐ道すがら、虫の声に歩く速度を緩めて耳を澄ましてみる。
9月も半ばを過ぎると1~2週間前と比べ心なしか虫たちの声も弱弱しくなっている。
季節は着実に移っている。暑さ寒さも彼岸までだ。
今朝は電車の中で、かすかにではあるがのどに微妙な違和感を覚えた。
次の瞬間、のど飴とマスクが頭に浮かんだ。
会社に着いて机の引き出しをあけて去年の残りを探したら、封を切ってあるのど飴袋に半分ほど飴が入っていた。
マスクは見つからない。
いつしか心は冬へと軽く身構え始める。もうお正月のことが頭にちらつく。
夏らしい炎暑の記憶があまりなかったからか、今年は早すぎる1年になりそうだ。
彼岸の後ろめたさ。墓参りに行けないひっかかり。
故郷の弟妹は今頃線香をあげているだろうに。そういった気分になる。
居酒屋の押しボタンに現れたキリギリス
一寸の虫にも五分のサービス精神