勤務地の日本橋のオフィス街を歩いていると、
ピピッピピッピピッ……とか、ツピツピツピ……とか、
鳥の鳴き声が聞こえてくることがあります。
もちろん、機械音声ではなく、本物の鳥です。
「今、鳴いているのは何という鳥なんだろう?」
そんな些細な疑問から、少しずつ鳥に興味が湧いてきました。
そんな折、「きっと鳥が好きになる」というタイトルの
なんだか面白そうな写真展があることを知りました。
写真は観るのも撮るのも好きなので、これは見逃せないと思い、
先日いそいそと足を運んできました。
さまざまな鳥たちを捉えた写真が素晴らしかったのはもちろんのこと、
会場内には涼やかな鳥の鳴き声がBGMとして流れていて、
一瞬で都会の喧騒から遠く離れた旅先にいるような気分に。
大げさではなく、本当に心が浄化されるようでした。
展示の中には、愛らしいひなの写真もありました。
そのそばには、写真展の監修者によるコメントが添えられており、
その内容にハッとさせられました。
ひなの写真を撮ろうと人間が近づくと、親鳥が巣を放棄して逃げてしまい、
親から離れたひなは生きていけず、天敵に捕食されてしまうことがある――。
そのため、ひなや親子の写真を大きく取り上げるのは好ましくないとのことでした。
かわいいひなや、親鳥の愛情が伝わる写真はたしかに魅力的です。
けれど、そういった写真をSNSに投稿したり、称賛したりすることで、
知らず知らずのうちに迷惑行為を助長してしまうことにもなりかねません。
私も趣味で写真を撮る身として、このことは常に心に留めておきたいと思いました。
また、そうした監修者の指摘に真摯に向き合い、
どうあるべきかを表明して社会的責任を果たそうとする主催者の姿勢には、
本当に頭が下がりました。
私も社会人として、こうありたい。見習っていきたいと感じました。
都心のオフィスビルの一角にある、こじんまりとした会場でしたが、
目と耳と心と頭の滋養になる、とても素敵な展示でした。
もっと鳥が好きになりました!
写真展の入口スタンド